「JOOLA離れ」——2026年に入って、ピックルボール界隈でこんな言葉を耳にしないだろうか?
デケル・バー (Dekel Bar) が11SIX24へ、ブランドン・フレンチ (Brandon French) がCombat Pickleballへ、エリック・オンシンズ (Eric Oncins) がEngageへ。確かに、JOOLAから離れた選手の名前はいくつも挙がる。
でも、ちょっと待ってほしい。
筆者が実際にアメリカで取材して見た光景は、ネットの「JOOLA離れ」という論調とはまったく違うものだった。
コートで見たリアルな風景
JOOLAパドル
アメリカのトーナメント会場やプロの練習コートを取材すると、ある共通点に気づく。
契約が切れた選手、まだ次のスポンサーが決まっていない選手——いわゆる「フリーエージェント」状態の選手たちが、かなりの割合でJOOLAを使っている。
契約の縛りがない。どのパドルを使ってもいい。
そんな状況で自分の意志で選んでいるのがJOOLA。これが何を意味するか?
**「スポンサー料をもらっているから使っている」のではなく、「純粋にパドルの性能で選んでいる」**ということだ。
なぜ「JOOLA離れ」に見えるのか
JOOLA Pro IV
ここには業界構造の問題がある。
2026年、ピックルボールのパドル市場は大きな転換期を迎えている。新しいUPAA認証ルールの導入で、**パドル1モデルの認証維持コストが年間約6万ドル(約900万円)**にまで跳ね上がった。従来のUSAP認証は生涯でわずか4,500ドルだったのに。
つまり、ブランド側が契約選手に出せるお金の構造が変わった。
| 項目 | 以前 | 2026年〜 |
|---|---|---|
| パドル認証コスト | 約4,500ドル(生涯) | 約60,000ドル/年 |
| 選手契約予算 | 潤沢 | 圧迫される |
選手がJOOLAから「離れた」のではなく、契約更新のタイミングで他ブランドがより高い条件を提示した——それだけのこと。
新興ブランドは選手獲得のために大きな契約金を用意する。JOOLAのようにすでに市場ポジションを確立しているブランドは、同じ金額を出す必要がない。
数字が物語る「本当の人気」
Ben Johns JOOLA
契約選手の移籍だけを見て「JOOLA離れ」と言うのは、表面的すぎる。
実際のデータを見てみよう。
- ●JOOLA Pro IVシリーズは2026年もツアーで最も使用されているパドルラインの一つ
- ●ベン・ジョンズ (Ben Johns)、アンナ・ブライト (Anna Bright)、コリン・ジョンズ (Collin Johns) ら世界トップはJOOLAを継続使用
- ●無契約選手の間でもHyperionとScorpeusの使用率は依然トップクラス
- ●2026年3月には新ラインPro Vコレクションを発表。KineticFrameテクノロジー搭載
2022年にベン・ジョンズがFranklinからJOOLAに移籍したことで始まった「JOOLA旋風」は、4年経った今も衰えていない。
筆者がアメリカで感じたこと
Scorpeus
現地で選手たちに話を聞くと、こんな声が多かった。
「契約がなくなったら、結局JOOLAに戻る選手は多いよ。パドルの完成度が違う」
「スポンサーのお金で使うのと、自分のお金で買うのは別の話。自腹ならJOOLA」
これはプロだけの話じゃない。
アメリカのレクリエーションプレーヤーの間でも、JOOLAは圧倒的なシェアを持っている。練習コートを見渡すと、JOOLAの黄色やグリーンのパドルがそこら中にある。
まとめ:「離れた」のではなく「契約が動いた」だけ
「JOOLA離れ」という言葉はキャッチーだけど、実態を正確に表していない。
起きているのは「契約の移動」であって「パドルの不人気」ではない。
むしろ、契約の縛りがなくなった選手がJOOLAを選び続けている事実は、パドルとしての本質的な強さを証明している。
日本でも最近JOOLAユーザーが増えているけど、その選択は間違っていない。プロが「自分のお金で買うならJOOLA」と言っている——これ以上の推薦はないんじゃないだろうか。



